マルヒの干し芋(ほしいも)ができるまで

さつまいもの畑作り

干し芋(ほしいも)作りは、2〜5月にかけて行うさつまいもの畑作りから始まります。
まずはかたくなった畑の土をトラクターで掘り返してやわらかくし、土に肥料を与えます。それを何度か繰り返します。それから、サツマイモの苗を植えるためのかまぼこ型の畝(うね)を作っていきます。たまゆたかはマルチフィルムなしが一般的でしたが、べにはるかなどの新しい品種は畝にマルチフィルムを覆うのが一般的です。
苗床づくり

3月は苗作りです。
まずは床作りの土作りから始まり、ハウスの中に種芋を並べ、30℃前後に保った苗床で発芽させます。毎日水を与えて成長させます。天気がいい日は暑くなり過ぎて生育が早まってしまうこともあるので、ハウスの横を開けたりして温度を下げて生育を遅くしたりもします。理由としては、農家さんの苗植えの時期を調整するために早めたり遅くしたりします。
さつまいもの苗植え

4〜5月にかけて、節が6〜8になったところを見計らって、苗を切り取ります。
苗切りはハウス内が高温になっていることと、ずっと座りっぱなしの作業ということもあり重利労働です。切った苗は、切り口の消毒と栄養を与えて、いよいよ、苗を畑の畝(うね)に植え付けます。
育つ、育つ
生育中は雑草を除去したり、防虫作業を行います。
まるで子どもの成長をこっそり手助けしながら見守るように、収穫まで健康な芋の成長をサポートしていきます。7月頃になるとこの地域は至る所がこのように芋畑が広がっています。さつまいもの生育には、日照と適度の雨が必須です。成長期(6〜9月)に適度の雨がないと、さつまいもの成長と品質に大きな影響を与えます。さつまいも、しいては干しいも(ほしいも)の品質には、適度な雨が大きく影響を与えると言われております。
さつまいも掘り

毎年10月初旬から11月初旬くらいに行う芋掘りは、ひたちなか地域以外でも全国のさつまいもの産地では季節の風物詩的な風景となっております。弊社のあるひたちなか市阿字ヶ浦町では10月の体育の日に行う「町民運動会」後に一斉にスタートします。
ちなみにひたちなか地域で昔ながらの品種の一つ「たまゆたか(玉豊)種」は、皮が白いのが特徴。
真っ白い芋を見て、驚かれることもあります。
収穫したさつまいもを低温保管

基本的には、収穫してすぐに製造工程に入ることはありません。実は収穫してすぐのものは、糖化が浅く甘みが少なくパサパサした食感になってしまいます。
そこで重要なのが「熟成」。甘みや独特の食感を引き出すため、収穫した芋を低温保管庫の中で熟成(糖化を促す)させます。
少なくとも1ヶ月以上の熟成期間を経て、徐々に糖化が進むことで、たっぷり甘みとおいしさを蓄えていきます。
さつまいもの選別

11月下旬頃から干しいも製造が始まる。
熟成(糖化)が進んださつまいもから、干しいも(ほしいも)製造が始まります。
まず初めに行うのが「サイズ選別」。
熟成中に腐敗してしまったものなどを手作業で一つひとつ取り除き、大きさ別に選別していきます。基本的には「大=角切り」「中=平切り」「小=丸干し」のように使い分けています。
選別が終わったものは、水でよく洗浄して、土などをきれいに取り除きます。
さつまいもを蒸かす

よく洗ったさつまいもは専用の蒸かし機の中で、蒸かしていきます(たまゆたか90~120分間、べにはるか60〜90分間)。
ここでのポイントは、圧力をかけ過ぎずに、じっくりゆっくり蒸かすこと。
強い圧力で短時間で蒸かすと、芯まで蒸かしきれず「白太」という状態や、糖化の薄い干しいもになってしまいます。干し芋作りにせっかちは禁物です。「じっくり、ゆっくり」がおいしい干しいも作りの大きなポイントとなっています。
さつまいもの皮剥き

皮剥きは、蒸かしたてのさつまいもを熱いうちに一本一本手作業で行います。
干し芋作りのなかでも最も手間と時間のかかる工程ですが、熟練の農家さんは1本数十秒ほどで、するりと綺麗に剥いてしまいます。
実は、あまり大きな声では言えませんが、蒸かして皮を剥いただけでも、かなり「おいしい」です。この状態での食感は、たとえるなら「ホクホクシットリ」の蒸かし芋という感じでしょうか。
蒸かしたいものスライス(裁断)

皮を剥いたさつまいもは、幅約1cm間隔でピアノ線をピンと張った専用の裁断機(スライサー)で裁断していきます。形を崩さないように、縦方向に垂直にやさしくすーっと押し込むのがポイントです。
サツマイモには食物繊維がたっぷり含まれていますが、繊維に逆らって裁断すると形が崩れてしまいます。
簡単そうに見えて非常に技術が必要な工程です。干し芋(ほしいも)の出来上がりのきれいな形は、熟練の技なのです。
ほしいもをスダレに並べる

裁断し終えた、スライスされた生の干しいもは、すぐ、スダレの上に一枚ずつ丁寧に手作業で並べていきます。
こちらもかなり神経を使う工程で、しっとり繊細な芋たちは、気を抜いた瞬間に容赦なく型崩れてしまいます。参考までに、弊社で行なっている干しいも作り体験で、実際に体験をされた方々の感想を聞くと、この並べる作業が一番難しいとおっしゃる方が多いです。
ほしいも(干し芋)の天日干し

天気予報とにらめっこしながら、晴れの日が続きそうな時を見計らって。
さあ、天日干しの始まりです。
天候等にもよりますが、平均で平切り干し芋で約5〜7日間、丸干し芋はその倍の約14日間程度かけて仕上げていきます。
さらに、ただ干しておくだけでなく、雨が降れば軒下に移したり、全体が満遍なく乾燥するよう一枚一枚ひっくり返したり。手がかかるほど愛おしい、そんな干し芋(ほしいも)作りです。
ほしいも(干し芋)のできあがり

夜に冷えた芋が、昼間の太陽で急激に温められることによって、まるで干された干し芋が発汗をするかのように、水分が表面に浮き出てくる。
それを日中の西風が表面に浮き出した水分を乾かしていく。この繰り返すことで、美しくしまった干し芋ができあがります。
良質なサツマイモを育てるこの土地ならではの火山灰土の黒い土、そしておいしい干し芋を作る冬に晴天が続く気候と、太平洋からの海風。
自然の力と、人間の技と根気で作り上げる。
それが私たちマルヒの、と言いますか、ひたちなか地域に昔から続いている干し芋(ほしいも)なのです。
干しいも作り体験
弊社では「作って楽しい、食べてもおいしい」干しいも作り体験を
1〜4月の金曜土曜のみに期間限定で行なっております。
皮むき、スライス、スダレに並べる作業をしていただき、
弊社で天日干しなどで仕上げて、
オリジナルパッケージに詰めてご自宅へお送りいたします。
自分で作った干しいもが格別です。
もしご興味がございましたらご参加ください。
一枚一枚手作業で作り上げ、昔ながらの天日干し仕上げで作り上げるマルヒの干し芋。
人の手と自然の力で作る干し芋作りは、時間も手間もかかりますが、この地で受け継がれてきた昔ながらのおいしさを守り、伝えるため、約100軒の地域の提携農家さんとともに、無骨に手作りを貫いています。
そんな私たちの干し芋作りの一年をご紹介します。